SPECIES ·

サンショウモ

Salvinia natans (L.) All.

サンショウモ科 · サンショウモ属

花・胞子の時期

該当なし。シダ植物のため開花しない

原産地

毒性

明確な強い毒性の記録はない

特徴

浮遊性の水生シダ。真正の根がなく、3枚目の葉が根状に変形して水中へ伸びる。浮葉の細毛は乾燥状態と浮力の維持に役立つ。異形胞子性

KNOWLEDGE NOTE

出典・内容を順次整備

2026/08/09 撮影地:筑波実験植物園

サンショウモ(Salvinia natans)はサンショウモ科サンショウモ属の一年生浮遊性水生シダです。ユーラシア大陸とアフリカの一部に広く分布し、日本でも本州から九州に自然分布します。

最大の特徴は、真正の根をもたないことです。水中へ伸びる根のような部分は、実際には著しく変形した葉です。通常、2枚の浮葉が対になって水面に浮かび、3枚目の葉が水中へ垂れて、根に似た役割を担います。

基本情報

項目内容
学名Salvinia natans (L.) All.
科・属サンショウモ科(Salviniaceae)/サンショウモ属(Salvinia
サンショウモ目(Salviniales)
和名サンショウモ(山椒藻)
中国名山椒藻、槐叶苹
英名Floating fern
原産・分布ユーラシア大陸とアフリカの一部。日本では本州から九州に自然分布
花期該当なし。シダ植物のため開花しない
果実の成熟期該当なし。結実せず、胞子で繁殖する
毒性明確な強い毒性の記録はない
薬用信頼できる現代的な主要薬用価値は確認されていない
特徴浮遊性の水生シダ。真正の根がなく、3枚目の葉が根状に変形して水中へ伸びる。浮葉の細毛は乾燥状態と浮力の維持に役立つ。異形胞子性

原産地・分布

ユーラシア大陸とアフリカの温暖域から温帯域に分布し、日本では主に本州から九州の水田、池、用水路、沼、流れの緩やかな水面に生育します。

典型的な自由浮遊型の水生シダで、水底の泥に根を張る必要はなく、植物体全体が水面に浮かびます。

サンショウモ属では各節に通常3枚の葉ができます。水面に浮く2枚の緑色の葉は主に光合成と浮力を担い、水中へ垂れる1枚の著しく変形した葉は細かく分枝し、養分吸収や植物体の安定など、根に似た機能を担います。見かけは根でも葉であり、真正の根は存在しません。この構造はサンショウモ属が水生生活へ高度に適応した重要な特徴です。

浮葉の表面には多数の細毛と撥水構造があり、葉面が長時間水に覆われるのを防ぎ、ガス交換と浮力の維持を助けます。

適した環境では盛んに栄養繁殖し、分枝によって新しい浮遊個体を増やして広い水面を覆うことがあります。和名「サンショウモ」は、葉の並び方や姿がサンショウの葉を思わせることに由来します。

日本の野生個体群は、水田整備、湿地の減少、水質変化、除草剤などの影響を受けています。筑波実験植物園の解説では、茨城県で絶滅危惧IB類、全国では準絶滅危惧に位置づけられています。

胞子形成と形態

シダ植物なので開花せず、真正の果実や種子もつくりません。有性生殖は胞子によって行われます。

浮葉は楕円形からほぼ円形で、2枚ずつ対になって水面に並びます。表面の細毛は葉を比較的乾いた状態に保ち、安定した浮遊を助けます。3枚目の葉は水中で細かく分かれ、一見すると根系そのものですが、形態学的には変形した葉です。

茎は短く横方向に伸び、節から新しい葉と枝を次々に出すため、栄養繁殖能力も高い植物です。

サンショウモは異形胞子性シダで、2種類の胞子をつくります。

大胞子 → 雌性配偶体 小胞子 → 雄性配偶体

胞子嚢は一般的な陸生シダのように葉裏へ直接並ばず、水中葉の近くに特殊な胞子果状構造を形成します。自然群落では胞子繁殖に加え、茎の分枝や断片化による栄養繁殖も重要です。

識別の要点は、水面を浮遊すること、対になった緑色の葉、水中の細かな「根状部」、そして真正の根をもたないことです。

毒性

明確な強毒性を示す信頼できる資料はなく、通常の観察や接触に特別な危険はありません。

ただし一般的な食用植物ではなく、広い食習慣もないため、自己判断で採取して食べることは推奨されません。池や水田、用水路の野生株には微生物が付着したり、汚染物質が蓄積したりする可能性もあります。