2026/08/09 撮影地:筑波実験植物園
デンジソウ(Marsilea quadrifolia)はデンジソウ科デンジソウ属の多年生水生シダで、水田、池、沼、浅い湿地に生育します。通常、葉は4枚の小葉からなり、四つ葉のクローバーや漢字の「田」に見えることから和名と中国名がつきました。外見はクローバーに似ていますが被子植物ではなく、花も果実もつくらず胞子で繁殖する真正のシダ植物です。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学名 | Marsilea quadrifolia L. |
| 科・属 | デンジソウ科(Marsileaceae)/デンジソウ属(Marsilea) |
| 目 | サンショウモ目(Salviniales) |
| 和名 | デンジソウ(田字草) |
| 中国名 | 田字草、蘋 |
| 英名 | European water clover / Four-leaf water clover |
| 原産・分布 | ユーラシア大陸の温帯から暖温帯 |
| 花期 | 該当なし。シダ植物のため開花しない |
| 果実の成熟期 | 該当なし。結実せず、胞子で繁殖する |
| 毒性 | 一般に明確な強い毒性の記録はないが、自己判断で一般食品として採取することは推奨されない |
| 薬用 | アジアの一部に伝統的利用例があるが、現代の主要な薬用植物ではない |
| 特徴 | 四つ葉状の葉をもつ水生シダ。地下茎があり、浮葉と抽水葉を形成する。異形胞子性で丈夫な胞子果をつくる |
原産地・生育環境
ユーラシア大陸の温帯・暖温帯に広く分布し、水田、池、湖岸、用水路、湿地、季節的な浅水域に生育します。細長い地下茎が泥中を横に伸び、節から根と葉を出すため、適地では群落を形成します。
水位変化への適応力が高く、深い場所では葉柄を伸ばして水面に浮葉を広げ、浅水や泥が露出した場所では水面より上に葉を出します。かつて東アジアの水田湿地を代表する植物でしたが、圃場整備、除草剤、管理方法の変化、湿地減少により地域によって野生個体群が減少しています。
同じ科のピルラリア属は針のような葉をもち、本種の四つ葉状の姿とは大きく異なりますが、どちらも同じ水生シダの系統です。
胞子形成と形態
花、果実、種子をつくらず、胞子で有性生殖します。長い葉柄の先に4枚の扇形または倒三角形の小葉が十字状に広がります。四つ葉のクローバーはマメ科の被子植物であり、両者の似た姿は収斂的な結果です。新葉はシダに典型的な拳状巻きを示します。
胞子果
胞子嚢を葉裏へ直接並べる代わりに、葉柄基部近くへ硬い殻をもつ胞子果(sporocarp)を形成します。本種は異形胞子性で、大胞子は雌性配偶体、小胞子は雄性配偶体になります。適切な水分を得ると胞子果が吸水して開き、内部の胞子嚢が放出されます。丈夫な胞子果は乾燥や水田の一時的な干上がりから繁殖器官を守り、季節性水域への適応に役立ちます。
毒性
典型的な強毒植物とは考えられておらず、通常の接触に明確な危険はありません。一部地域には食用・伝統利用例がありますが、加工法や習慣が異なるため、野生株を普通の野菜として直接食べることは推奨されません。水田や用水路の株は農薬、重金属、微生物などに接触している可能性もあります。