2026/07/04 撮影地:小石川植物園
× Thunia veitchiana は19世紀後半から栽培されるツニア属の人工交配ランです。直立する竹節状茎に葉を並べ、成熟した新梢頂部付近に大きな下垂花を咲かせます。白から淡桃紫色の花被と、紫紅から橙黄で縦のひだ・毛・房状構造をもつ巨大な唇弁が特徴です。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学名 | × Thunia veitchiana Rchb.f. |
| 科・属 | ラン科(Orchidaceae)/ツニア属(Thunia) |
| 目 | キジカクシ目(Asparagales) |
| 和名・流通名 | ツニア・ウェイチアナ/ツニア・ベイチアナ |
| 中国名 | 维奇笋兰(暫定名) |
| 英名 | Veitch’s Thunia |
| 原産地 | 人工交配種のため自然原産地はない。親種は南アジアから東南アジア原産 |
| 花期 | 通常夏。温室管理で前後する |
| 果実の成熟期 | 人工授粉後の蒴果は数か月で成熟する |
| 毒性 | 明確な強毒性記録はないが食用植物ではない |
| 薬用 | 信頼できる現代的な薬用価値はない |
| 特徴 | 19世紀の人工交配ラン。竹節状直立茎、大型白桃色花、房状の巨大唇弁、明瞭な季節休眠をもつ |
1885年に Reichenbach が発表し、一般に Thunia bensoniae × T. marshalliana の交配とされます。T. marshalliana は資料によって T. alba に近い分類として扱われるため、親名表記に差があります。
親種の環境と休眠
人工交配種なので野生原産地はありません。親種はインド、ミャンマー、中国南部、タイ周辺の季節性をもつ山地環境に由来します。
生育周期は、春に発芽、夏に急伸・開花、秋冬に落葉して休眠です。常緑着生ランとは異なり、成熟した旧茎は冬に葉を失った竹竿状になりますが、正常な休眠であり枯死とは限りません。19世紀英国のラン育種熱の中で生まれ、現在も園芸記録が残りますが、データベースによって名称状態の扱いが異なります。
花・葉・茎
新茎が成熟すると頂部付近から大きな下垂花をつけます。萼片と花弁は白、乳白から淡桃紫。拡大した漏斗・ラッパ状唇弁の縁は波打ち、ひだや房状となり、内部は淡紫紅、濃紫紅、橙黄へ変化します。これらは視覚誘導、足場、進行路の制御、合蕊柱への接触に関わる送粉構造です。
披針形から長楕円披針形の葉が、葉基で竹節状直立茎を包みながら並びます。生育期後に落葉し、翌年基部から新芽を出します。
根は腐植質に富み排水のよい基質へ伸び、典型的な高位着生ランより地生・半着生の傾向があります。受粉後は微小種子を多数含む蒴果となり、自然発芽には菌根菌が必要です。
毒性
明確な強毒性記録はなく通常の観賞・栽培に特別な防護は不要ですが、食用植物ではありません。樹液へ敏感な人は剪定後に手を洗ってください。