2026/07/04 撮影地:小石川植物園
ツルラン(Calanthe triplicata)はアジアの熱帯・亜熱帯から日本南部へ分布する常緑地生ランです。大きなひだ葉と、多数の白花をつける高い総状花序が特徴で、唇弁中央には黄から橙紅色の斑があります。日本の野生集団は絶滅危惧II類(VU)です。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学名 | Calanthe triplicata |
| 科・属 | ラン科(Orchidaceae)/エビネ属(Calanthe) |
| 目 | キジカクシ目(Asparagales) |
| 和名 | ツルラン(鶴蘭) |
| 中国名 | 三褶虾脊兰 |
| 英名 | Christmas Orchid / Triplicate Calanthe |
| 分布 | 日本南部、台湾、中国南部、南・東南アジア、太平洋諸島、オーストラリア北部など |
| 花期 | 日本では通常7~9月。熱帯ではより長い |
| 果実の成熟期 | 授粉後数か月、気候により変化する |
| 毒性 | 明確な強毒性記録はないが食用植物ではない |
| 薬用 | 伝統利用例はあるが十分な現代医学的根拠はない |
| 特徴 | 大型ひだ葉、密な白花序、唇弁中央の橙黄色斑をもつ。日本の野生集団は保全価値が高い |
分布・生育環境
南アジアから東南アジア、台湾、日本南部、オセアニアに広く分布する熱帯・亜熱帯林の地生ランです。日本では九州南部、琉球、小笠原などの暖地に見られます。
湿潤林の林床、渓谷付近、腐植質の多い地面で、林冠に遮光され高湿度の場所を好みます。世界分布は広くても、日本は分布北縁で、森林変化、開発、過去の採取によって国内集団が減少しています。「ツル」は蔓ではなく、白花を翼を広げた鶴に見立てた名です。
花・葉・種子
基部から高い直立花茎を出し、長い総状花序に多数の白花をつけます。白い萼片と花弁の中央で、特殊化した唇弁の黄・橙黄・橙紅色斑が目立ちます。
長楕円から披針状楕円形の大型葉が基部へ集まり、強い縦ひだと太い平行脈をもちます。地生、基生大型葉、強い縦ひだの組み合わせでエビネ類を推定できます。
短い茎と膨らんだ偽球茎が水と養分を貯蔵します。受粉後の蒴果は大量の微小種子を放ち、栄養貯蔵の乏しい種子は菌根菌の助けで発芽します。
毒性
著名な強毒性植物ではありませんが、食用を保証する資料はなく、野生ランを食品として試すべきではありません。日本では保全対象として採取を避けてください。