2026/07/04 撮影地:小石川植物園
セロジネ・オバリス(Coelogyne ovalis)は南アジアからヒマラヤに分布する多年生着生ランです。明瞭な偽球茎と気根で樹幹、枝、岩へ着生し、黄緑から淡黄色で褐色斑紋の目立つ花をつけます。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学名 | Coelogyne ovalis Lindl. |
| 科・属 | ラン科(Orchidaceae)/セロジネ属(Coelogyne) |
| 目 | キジカクシ目(Asparagales) |
| 和名・流通名 | セロジネ・オバリス/オバリス |
| 中国名 | 卵叶贝母兰 |
| 英名 | Oval-leaved Coelogyne / Oval Coelogyne |
| 分布 | ヒマラヤ、中国南・西南部、インド北東部、ネパール、ブータン、バングラデシュ、ミャンマー、タイ、ラオス、ベトナムなど |
| 花期 | 通常夏末から秋、約8~11月 |
| 果実の成熟期 | 花後の蒴果は授粉時期と環境に応じて成熟する |
| 毒性 | 明確な毒性記録はない |
| 薬用 | 十分に信頼できる現代薬用資料はない |
| 特徴 | 偽球茎と気根をもつ山地着生ラン。黄緑から淡黄花の唇弁に濃褐色斑紋が入り、ヒマラヤから東南アジアに広く分布する |
原産地・着生生活
ヒマラヤから中国南部、インドシナ半島へ広がるアジア山地着生ランです。湿潤林の樹幹、太枝、苔むした岩へ気根を付着させ、雨、空中湿度、表面の有機物から水と無機塩を得ます。木片へ固定して根を空気にさらす栽培法は自然の生活に合っています。
セロジネ属はアジア熱帯・亜熱帯を中心とする着生ラン群で、本種は温暖湿潤かつ通風のある山地林へ適応します。
花・偽球茎・根
通常8~11月に開花し、標高、温度、降雨周期により変化します。花は黄緑、淡黄から淡褐黄で、狭長な萼片・花弁をもちます。特殊化した唇弁には濃褐から赤褐色の筋、斑、脈が入り、淡い花被と強く対比します。
葉は偽球茎頂部から出て、楕円状披針形から長楕円形で平行脈をもちます。緑色で卵形・オリーブ状の偽球茎は果実ではなく、水と養分を蓄える特殊化した茎です。樹皮のように保水が不安定な場所で貯水器となります。
太い気根の表面には海綿状の根被があり、雨や付着水を素早く吸収します。授粉後の蒴果は大量の微小種子を放ち、自然界では菌根菌との関係によって発芽します。
毒性
明確な毒性を示す資料はありませんが、一般的な食用植物ではなく食品安全研究も不足しています。「毒性記録がない」ことを食用可能と解釈しないでください。